October 14
#202 アイドル
今年の年末をもって、「嵐」が活動を休止する。いち嵐ファンの私としては、2021年正月の喪失感は、予想もできないほどだと思う。
ところで、ジャニーズの曲や番組が常にやまない家庭で育った私は、あまりアイドルというものに抵抗がないのだが、普通(?)の人はどうなのだろう。アイドルオタクは、現実逃避して魅了されているように映り滑稽に思えてしまうのだろうか。熱狂具合が常軌を逸しているイメージがあって、引いている?はたまたもっとシンプルに、ミーハーなノリがして近づきがたいのだろうか。確かに、アイドルはその名の通り人工的に作り上げられた「偶像」に過ぎない。ただ、芸人や歌手や俳優のような特定の主戦場を持たずに芸能界入りする彼らの人気を、単に受け取る側の薄っぺらさのせいにするのは少しだけ待ってほしい。
自分が売れないアイドル、もしくはそのアイドルを運営する側に立たされた場合を考えてみてほしい。いったいどうすれば売れるのだろうか。容姿の良さやファンに媚びを売るだけでは、きっとダメなんだろうというのは分かる。そんなことでよければ、ここまでジャニー喜多川と秋元康の独壇場にはなっていないはずだ。かろうじて言えるのは、「物語」を売り出すのは常套手段なのかもしれない。SMAPも嵐もAKBも乃木坂も苦難を乗り越えた先で彼らが手にしているものの魅力に、苦難を経験しているという事実が拍車をかけ、大ヒットが生まれた。そして苦しくも、いつしか続けられないメンバーが出てきてしまい、その繁栄に終止符が打たれる。ただこんなパッケージが分かっていたところでどうしようもない。売れないなら売れないまま足掻いていればよいという話になってしまう。ジャニー喜多川への道はまだ出発もしていないといったところだろう。
太古の昔から、人々を魅了する「アイドル」というものはおそらく所々に存在したが、その「魅了」の部分だけを取り出した「アイドル」という職業が生まれ出したのは、テレビ全盛期の西城秀樹、山口百恵あたりからだろう(私は生まれていない)。そして、その流れにいち早く目をつけ、たたき上げていったのが、秋元、喜多川の両氏なのだろう。数々のアイドルと苦難を共にし両氏が獲得した「魅了のノウハウ」を、もし仮に他の誰かが手にしてしまえば、他のいかなるビジネスやはたまた手にした自分自身への大悪用が始まってしまうのではないかと想像すると少しぞっとする。
(ペンネーム:ケンジ先生)
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