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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

映像の劣化版

ラジオが好きだ。毎月300円を払えば全国のラジオをアーカイブ付きで聴くことが出来るサブスクに惜しみなく登録できるくらい好きだ。

ラジオは映像の劣化と考える人も多いだろうが、それは違う。映像は目、耳両方で隅々までコンテンツに注意を向け、作り手が伝えようとする情報全てを拾わねばならない。音声は重要な一要素ではあるがそれはあくまで一要素でしかない。しかしラジオは音に全ての情報が乗せられている。発言者は話す内容だけでなく、声色、相槌などを様々な手段を用いて工夫し、情報を最大限伝えようとする。リスナーも音声だけが内容を知るための手段だと分かっているから、それを聞き逃すまいと集中する。話者とリスナーは互いに音声の重要性を理解している。だから音声の持つ意味が映像とラジオで完璧に別物なのだ。

しかし近年ラジオに映像化の風潮が訪れている。生放送のラジオなどではYouTubeなどを使って撮影風景を生中継する番組が多くなった。すると1部のラジオでは、正直内容が分かりにくくなった。所謂映像の音声になったのだ。話者が映像に甘え、伝わる情報がただの会話と同じものになってしまった。これではそのラジオだけを聞いているような私のような偏屈なリスナーはただの映像の劣化を聞かされていることになってしまう。

本当にラジオに映像化など必要だったのだろうか。それとも我々リスナーも映像付きラジオはこういうものだ、一種の文明の進化だと諦めるべきなのだろうか。私個人としてはラジオと映像は完璧に別物であって欲しかったと思うのだが。

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