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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

#24-14 個別指導のバイト

 個別指導のバイトをしている自分にとっては、夏休みは気が抜けない。自習室の狭い箱の中で、問題と格闘している高三生もいれば、ギブアップと言わんばかりの表情をする中三生もいる。そんな生徒にどんな授業をすればいいかと考えることもしばしばあるが、急に自分の考えていることが馬鹿馬鹿しく思えてくることも多い。個別指導のコーチは所詮バイトなのだから、深入りしすぎるとかえってややこしい。そもそも、生徒の方も出会って一年経つかたたないかのコーチに深入りしてほしいとは思っていない。ただ、生徒を前にするとつい気持ちが前のめりのになって、色々話してしまいがちである。


 ということで、この頃前のめりになった時のことである。お盆の休講期間が開けて授業が再開された。夏休みも終わりに近づいていたのでちょうどいいと思って、「後悔はしないように」「あれしとけば良かったな、、とならないように」と定番の言葉をかけておいた。久しぶりの授業で調子が狂う中、そんなことを口に出したのだから、微妙な感じになってしまうなと思っていた。しかし、予想に反して、生徒が真面目に聞いてくれるものだから、変な気分になった。中でも真面目に聞いていた一人の生徒が、「え、もう後悔してるんやけど!?」と口早に反応してきた時には、「そういう意味で言ったわけではない」とツッコミたかったが、その素直があればなんとかなるか、と思って笑って誤魔化しておいた。


 個別指導は本当にコスパが悪いと思う。準備時間の給料は出ないから、頑張れば頑張るほど損した気になる。ただ、何というか、こんな名も知れていない大学生の若造に、お金まで払って授業を受けてくれている、そう思うと、いい経験だなとは思うのである。実家暮らしの私にはちょうどいいバイトなのかもしれない。話は変わるが、今日、ずっと気になっていたライブのチケットの抽選結果が発表された。最速先行はファンクラブ限定であったため、入るのを渋った自分は2回目の抽選にかけていた。「まあ大丈夫やろ」と謎の自信に満ち溢れていた自分であったが、今日普通に「以下のお申し込みにつきましては、残念ながらチケットをご用意することができませんでした。」と表示され、虚しく枯葉の如く散ってしまった。ファンクラブに入っておけば良かったと思った。ファンクラブというアイテムに課金しておけば良かったと思った。そして思った、今週の受験生の個別指導では、少し強めに「後悔だけは絶対にするな」と言ってあげたらな、と。


マカロニえんとつ

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