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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

#24-22 秋の匂い

「朝は冷えますが、日中は30度まで上がります。まだまだ、秋は遠いようです」


テレビの中のキャスターが読みあげる台詞に、ぎょっとした。この時期に、秋が遠いとは。


しぶとい夏にため息をつきながら、ふと、気になった。


そういえば、人は季節の変わり目をどうやって判断しているんだろう。


気温だろうか。確かに、いちばんわかりやすい指標だ。


景色だろうか。日本の四季の景色は確かにうつくしい。


でも、私は、匂いだと思っている。


春は雪が溶けるから、土の匂いと柔らかい陽の匂いが混じった匂いがする。夏は熱い空気に緑が乗っかった匂い。秋はちょっとだけさみしい、葉の落ちた木の匂い。冬は、つんざくような凍れた空気と雪の匂いがする。


年に4回、外の匂いをかいで、「あ、季節が変わったな」と感じる瞬間がある。毎年味わっているのに、なぜか毎年なつかしくて、毎年、悪くない。


確かに今年はまだ、秋の匂いを感じていない。外に出て、8月頃よりも涼しさを感じたとしても、これはやっぱり秋じゃないのだ。


もう10月になる。遅刻癖のひどい秋も、きっとそろそろやってくるはずだ。そして来たと思えばあっという間に、冬にどかされることを、私は知っている。


京都の冬はどんな匂いがするのだろう。雪が年に1,2回しか降らないらしい。積雪地方に生まれた私には、まったく想像がつかない。雪が降らないなら、きっと地元みたいな冬の匂いはしないはずだ。


新しい街の新しい季節は、それだけでやっぱり楽しみなもの。明日着る予定のシャツは、長袖だ。


アヒル

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