#24-29 関西弁
関西に来て半年以上経った。道ゆく大学生や店員さんの関西弁には驚かなくなったけれど、関西の方と話していると、ちょっとした違和感や違いを感じることが結構ある。せっかくこの部活には関西人がたくさんいるので、この部員日誌で疑問をぶつけてみようと思う。
まず、同じ言葉が関西では若干違う意味合いで使われているの気がする。
「めっちゃ」という言葉だ。
ある日、バイトの店長が、「めっちゃありがとう!」と声をかけてくれた。いえいえ、と流したが、その言葉は私の中に若干の引っ掛かりを残した。
めっちゃ、ありがとう?
そのときは、店長がちょっと変な言葉を使ったのかな、くらいの認識だった。意味はわかるし。しかし、また別の日。スタート練習でぶつかりそうになったある先輩(奈良出身だった気がする)にこう言われたのだ。
「いやー、めっちゃごめん!」
めっちゃ、ごめん?
そこではたと思い至る。
ひょっとして、この使い方は関西に特有なのだろうか。
標準語では、「めっちゃ」は形容詞に掛かる副詞だ。
めっちゃ重たい。めっちゃ痛い。みたいな。
一方で、関西人はこれを「ありがとう」「ごめん」のような感動詞(おそらく)に掛けて使っている。
今のところ例がそんなに多くないため実際のところはわからない。これは関西弁なのか、それとも単にたまたまそういう言葉の使い方をする人が私の周りにいただけなのか。どうなんでしょうか、関西の方。もうひとつは、「〜はる」という方言。ちなみに、私はあれは関西弁だと思っていたのだが、兵庫出身の同期によると京都人以外は言わないらしい。
「〜はる」。敬う意味合いを添える助動詞だと思うが、私の中でなかなか結論が出ないのがこの助動詞の接続だ。
日常会話では、多くの場合、未然形接続で使われているように思われる。つまり、〜する、なら「〜しはる」になるし、〜ている、なら「〜てはる」になるというわけだ。
でも、例えば「来る(くる)」という動詞に接続するときは「来はる(こはる)」ではなく「来はる(きはる)」になるような気がするのだ。
未然形なのか、連用形なのか。それとも、全然関係ないのか。全然関係ないとかいうことがあるのか。
おそらく、そもそもこの「〜はる」という助動詞はあまり一般動詞に接続しないのではないだろうか。
基本的には未然形接続でいわゆるbe動詞に接続する。そして、一般動詞に接続する場合は、「来る」→「来ている」→「来てはる」のような形に変化して未然形接続になる。ごく稀にそのまま一般動詞に接続するときは連用形接続になるけど、あんまりない。(きはる、ってあんま聞かないし)
というのが私の考察なのだが、京都人の皆さんはどう考えているのだろう。ネイティブはあまり文法を気にしないみたいだが。
ちなみに、私の地元の北海道で有名な方言が「〜さる」という言葉で、これは未然形接続だ。…多分。でも、なかなか使い所がむずかしい助動詞なので、あんまり本州のひとには伝わらない。こっちとしてはこの言葉なしにどうやって生活するのかと思うのだが。ほかには、京都の人は「〜やし」という言葉をよく使うなあ、という印象もある。標準語でも言わないわけじゃないが、関西では不自然なほど耳にするのは私の気のせいではないはずだ。これも、違う土地の人間が暮らしてみないとなかなか気づけない面白さだと思う。関西弁には慣れてきたものの、イントネーションの違いで何度も言葉を聞き返してしまうことが多い。(ごめんなさい)でも、ちょっとずつこっちの方言に愛着が湧いてきているのも間違いない。
最近、「ありがとう」と「ごめんなさい」は明らかに関西弁のイントネーションの方が発音しやすいことに気づいた。標準語だとイントネーションの抑揚が少なく、「ありがとう」は一音目の「あ」から強く発音する必要があるが、関西弁だと「と」だけを強く発音するので比較的発音が楽なのだ。「ごめんなさい」もだいたい同じ。そのせいで、よく「ありがと(<)う」「ごめんな(<)さい」と言ってしまっている。愛着が湧いているとはいえ、私としては地元の方言を守り抜きたいところだ。
アヒル
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