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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

#25-05 信号機

部活に向かう途中、目の前で信号機がチカチカして赤に変わった。いつもは車が繁く走っているのを目にする交差点だが、そのタイミングには1台もいなかった。信号無視をしようと思ったけれど、夕方の、太陽が見えなくなって、夕焼け色が消えてすぐの、ほんのり明るさがある紺色の空を眺めて、車通りのない静かな空間を感じたら信号無視をする気が失せた。自転車に跨ったまま遠くの空を見つめていると、頭上にある信号の光が目に入った。通る車もないのに煌々と青色に光っていた。車両用の信号機の大半はライトの上に帽子のツバのような庇があるけれど、そのとき見た信号機は庇の長さがかなり長めで、円柱を半分に割った形をしていた。きんきらピカピカの銀色ではなくて、青味の入った灰色、まだらにテカテカしていて水道管のような色をしていた。薄暗い空の中、カーブを描いた庇に青緑色の光が反射しながら閉じ込められているのが綺麗だった。眩しくはないけれど結構な明るさがある。そういえばあのレンズって直径が30cmくらいもあるんだよなー、と思いながら、信号機が大好きだった小学生の頃の自分を思い出した。信号機について詳しくなりたくて、近くの警察署に行ってインタビューをして、その中で実際のレンズを持たせてもらったことがある。顔よりも遥かに大きくて驚いたのを覚えている。信号機巡りのために親に車を出してもらうこともあったし、旅行中にその地域特有の形状をした信号機を探していたこともあった。信号機の歴史とか制御装置についてやけに詳しかった。今は信号機に対する熱烈な興味はないけれど、そんなこともあったなと思うと信号機に夢中だった自分が可愛らしく思える。そうこう考えているうちに、頭上の信号が黄色に変わって、赤色になった。どの色も反射が綺麗だったけど、赤色が1番強く輝いているように見えて特に好きかなと思う。素敵な景色を見れて幸せだった。


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