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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

#25-14 左から靴を履く

二年目になった。よく行く場所へ向かう道は完全に日常になってしまって、意識することもなくなる。最寄りの駅まで歩く道にはたくさんのお地蔵さんがいたり、中身の見えない謎のお店があったりするのだけど、そういう異質にもすっかり慣れた。生活圏ではもう、新鮮味を感じることはない。


しかし、ある日、整体に向かうために家から2kmほど歩かなければならなくなった。怪我をしているので自転車にも乗れない。仕方がないのでラジオを聞きながら歩き続けていたら、とてもとても狭い通りに差し掛かった。


並ぶ小さな玄関には、軒並み御神酒のお札が貼られていた。


5月にしては涼しい夕方、鳥の声よりも羽虫の音が気になる。風は少し生ぬるくて、確かにそこには私の知らない神様の気配がした。


凝り固まったものが解けるような感覚があった。


京都によくある、狭い通りが私は結構好きだ。地元にはなかった狭い狭い道には、なにか知らない世界が広がっている気がする。


しかし、そういう道も、何度も通っていれば日常になって、確かに存在した世界は私の意識から消えていく。とても面倒くさがりでとても臆病な私は、その日常をただ受け入れる。それはとても、穏やかで安全だからだ。自ら新たな道を探すのはとても大変で、私にはとてもむずかしい。


ただ、それはそれで、私はそういう人間だから、とも思う。御神酒の札こそ、春の京都でよく見られる光景で、京都の人は何も思わないらしい。


だからこそと言うべきだろうか。不可抗力で現れる道は、大切にしたい。散歩がてら、私に降る悪い気も解けるかもしれない。



左足から靴を履く。しかし、新しいパンプスは少し小さかった。



ペンネーム:絶対に氷

 
 
 

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