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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

#25-26 すなどけい

海辺で両手いっぱいに砂をつかみぱっと手を離す。


風に刈り取られるようにふわりと浮き上がって、また砂は地面に戻る。


本当は、海辺で砂いじりをしているはずだった。


自分の名前と滴下時間が書かれた点滴のパックが私の左頭上に点滴棒にぶら下がっている。


重力に従って、ポタポタと落ちていくのが見て取れる。


たった数時間が長く感ぜられる。手術の前はあんなにもドタバタしていたのに、だ。


病院の個室から外を眺めると庭で談笑する人、個室でスクワットをしている人、テレビを椅子に腰掛けて見ていた老夫婦。


それぞれの営みをぼんやりと眺めながら時間が過ぎてはいかない虚しさに、一向に消えない痛みに、点滴の管と針に拘束された左手に、思うように動けない自分の身体に、重力が重くのしかかる。


点滴の一滴がとても重たい。


どうか砂時計のようにサラサラと時間が流れてくれたらと思う。


深葉東風

 
 
 

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