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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

#25-34 家の鍵をなくした話

私はものを失くしやすい人間だから、スマホと財布とイヤホンと鍵、これだけはなくさないように、その場を離れるときには必ず確認している。


そのときももちろん確認した。スマホは後ろポケット、財布はカバンの内側ポケット、イヤホンは前ポケットにあって、鍵も、


え?


鍵は?


サーっと冷たい汗が背中を流れた。


私はまたやらかしたのだろうか。


覚えている限りでは、高2くらいのときにスマホを落とし、大学に入ってからはスーパーに財布を忘れ、コンビニに学生証を忘れ、道端に学生証を落とし、イヤホンはちょっと失くしすぎてわからないが何回も失くしてきた(片耳だけ失くすパターン、ケースだけ失くすパターン、全部失くすパターンなど、いろいろある)。


経験値を積みすぎていて、私はだいたい今後のパターンが読める。


パターンA、カバンの奥底に入っていたり、いつもと違うポケットに入っていたりする。


パターンB、ひとまず、今日は見つからない。


そして十中八九、パターンBに落ち着く。


世の中が善人で溢れていることに甘んじすぎているといわれるとそれまでだが、盗まれたり、完全に見つからなかったりするパターンはこれまでにもほとんどない。とはいえなかなかその日のうちに届くということもないので、たいてい失くした当日は不安で眠れない夜を過ごすことになる。


さて非常に残念なことに、また私は予感を的中させてしまった。大学構内、教務、警察をかけずりまわったが、どこにもない。もちろん、管理会社は定休日だった。


某先輩の「野宿は、一度経験しておくべきやで」という言葉が一瞬脳裏に浮かぶ。


いやいや。


さすがに振り払って、とりあえず一晩過ごせる宿を探すことにした。そのころにはもうかなり空は暗くなっていて、背負っているリュックは行きの倍ほど重く肩にのしかかっていた。


翌日テストなのでさすがに眠りたい。ということは、図書館はだめだ。カラオケで寝ようとしたら親に止められたので(冷静になって考えるとどう考えても危険だった)、家の近くのゲストハウスに泊まることにした。


毎日通っているのにその存在に気づきもしないくらい控え目な場所にあるそのゲストハウスには、とても穏やかで落ち着いた雰囲気が漂っていた。チェックインぎりぎりに這う這うの体で入り込んできた私を、宿主の女性は優しくもてなしてくださった。説明が終わるとすっとスタッフルームに戻るその距離感もありがたかった。


共有ルームには、小学生のころの私なら涙を流して喜びそうなラインナップの本が並んでいた。ときおり他の宿泊者さんの話し声も聞こえるが、それもあまり気にならない。全体的に木のあたたかさに包まれたその空間は、一晩しのぐための場所にするにはとてももったいなく思われた。


翌朝、9時半に管理会社が営業開始するので、それに合わせてチェックアウトすることにした。宿主の女性は、「管理会社に連絡はつきましたか。傘はお持ちですか」と最後まで気遣ってくださった。精神がまいっていた私はそれだけで目の前が滲んでしまった。「大丈夫です。傘はあります。お世話になりました。」


結局、鍵は学校の教務で見つかった。それと同時に、やっと大雨が優しくなった。


ところで、私の忘れ癖はいったいどうしたら治るのだろうか。かなり気をつけているつもりなのにこれである。管理会社が休みだったときは、今年はなんて不幸なんだ、と世界を呪ったが、よく考えればこれに関しては自業自得で笑えない。


絶対に氷

 
 
 

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