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ノートブック上の2本のペン

部員日誌

#325 老い

近頃、寝起きで洗面所に行くと髭面に浮腫顔の見るに耐えないおじさんがこちらを覗いていることがある。老いを感じる。

そういえば、歳を取ると人は寛容になるのかという問いは意外に面白いなと思った。

経験を積むことで、自分が忌み嫌っていたものが実は嫉妬や同族嫌悪によるものだと気付いたり、はたまた自分とは全く違う価値観を受け入れられるようになったり。往年の鬼教官が丸くなるということも珍しくない。

ただ一方で年月が経つにつれて、「実体験」が蓄積されてしまう。これは人を頑固にさせる。こうすることで上手くやってきた、ああしたのが大きな失敗だったという実体験に基づいた教訓をついつい普遍的なものとして体得してしまうのは生物としての性なのかもしれない。

いつも洗面台の前にいるあのおじさんはどうか寛容であってほしいものだ。

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