#25-56 ああ、むじょう
- Kyoto University Speed Skating Team
- 1 日前
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夏、手術のあとの痛みをごまかし、なんとか院試をやりくりしながら部活には参加し続けた。
おかげでこれまでよりトップスピードは伸びたけれど、それもすべて荒療治だったように思う。
入部以来、リレーに出場するのが常に目標だった。
A級だとか、9点台を出すだとか、レースで勝つだとか、たぶん多くの人が考えるような目標設定が私にはなかった。
かつてアウトトラックのパシュートに憧れを抱いた。
スピードスケート部に入ってみれば、パシュートはなかったけれど、リレーができるならそれで良いと思えた。
ありがたいことに2回生の時からリレーのレギュラーメンバーとして参加させてもらい、国体だってリレーの走者に混ぜてもらえた。
今年度に入って、3回生たちが速すぎることに危機感を覚えた。
リレーメンバーから脱落するかもしれない。
思えば気づくのが遅すぎたかもしれない。でも今からできることからやろう。
だから夏はリレー走者になるために練習に励んだ。
選ばれた時は安堵だった。
同期がいないのは寂しいけれど、滑れないよりかは幾分まし。
だからこそ、だからこそ、こんなタイミングで怪我すべきじゃなかった。
スケート靴もゆがんでいる。切れた足首では歩けそうにない。もうインカレは帰ってこない。
悔しさのやり場を見つけられないけれど、2つだけ良かったことがある。
練習の手ごたえが良く、一応ベストラップを更新できたこと。
やる気がぎりぎり切れてないこと。
やれることも、使える時間も減ってきたけれど、こんな終幕は誰にも望まれていない。
もう少しだけ打ち込みたいのだが、果たして神はそれを望んでいるのだろうか。
深波東風
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